全国的にカワウの生息数が増えていると聞きます。確かに、近所の広い川や池で群れで採餌する姿をよく見かけますし、大きな川がない自宅周辺にも15年ほど前から単独やペアでカワウが現れるようになりました。
最初は池から近いことから休憩のために電柱を利用しているのかと思っていましたが、半年間の観察から、自宅裏の小川での採餌とその前後に電柱にやって来ていることが分かりました。
行動バターンと利用場所
②の画像は定点観察を始めて6日目に撮ったものです。写真や動画を撮るようになって初めて電柱Aにカワウが現れました。電柱Aは自宅裏を通る小川の近くにある電柱です。
カワウはのどを小刻みに動かしていました。30℃を超える日だったので、体温を下げようとしていたのかもしれません。
③の写真は風が強い日に撮影したものです。いつもは電柱のてっぺんにいることが多いカワウですが、この日はしっかりと足でつかまることができる電線の方を選んだようです。
一度観察中にバランスを崩して大きく揺らぎ、羽をバサバサとはばたかせていましたが、なんとか踏ん張っていました。
持ち直した後、気合を入れるように、大きく口を開ける姿も見られました。強風の中、奮闘する姿に目を奪われました。
⑥の写真はそれから4日ぶりにカワウを観察したときのものです。この日は2羽で寄り添っていました。電柱Aにいつも長居しているカワウがパートナーを連れてきたのでしょうか。先にてっぺんに1羽がとまり、その直後にもう一羽電線にやって来ました。
カワウは一般的にオスの方が少し大きいとのことなので、電柱にいる方がオスかもしれません。片方が羽繕いをしている間、もう片方は周囲を警戒しているように見えました。また、体温調節のために口を開け、のどを小刻みに動かす「gular fluttering」の様子も確認できました。
9月28日~30日には電柱から川に飛び込んだり、採餌後に電柱のてっぺんに再び戻ってきて羽を広げて乾かしたりする姿を観察しました。
9月30日は朝と午後の2回姿を見せ、長時間電柱A付近にいました。 ⑨の写真のように、早く乾かすためなのか、羽繕いの一環なのか、頭を胴体に何度もこすりつける仕草も見られました。
他の鳥との関係
10月2日は午前中に2回、午後に1回電柱のてっぺんにカワウがとまっていました。2回目に見たときにはちょうどモズが電線に現れ、思いがけないツーショット(⑩の写真)が撮れました。モズはこの時期、頻繁に電線や電柱のてっぺんで高鳴きをしていました。このときはカワウを気にしている様子は見られませんでした。
⑪の写真はハシボソガラス1羽とカワウ1羽が少し距離をあけてとまっているところを撮ったものです。電柱Aでのツーショットは2日連続。前日も全く同じ構図でした。どちらも電柱Aの常連で、お互いに干渉せずに思い思いに過ごしているようでした。
⑫の写真はコサギとのツーショット。早朝コサギが電柱Bの電線にとまっていると、カワウが現れ、てっぺんにとまりました。カワウから数歩遠ざかったコサギは、時折カワウに視線を送り、少し気にする様子を見せていましたが、その場にしばらくとどまりました。
⑬は再びコサギとのツーショット。2日前と違い、てっぺん奪取劇がありました。この日はコサギが先に電柱Bのてっぺんにとまっていたのですが、カワウがコサギを足で小突き、場所を奪いました。コサギはおとなしく電線へ移動しました。
このときのカワウは採餌後で濡れていました。滞在時間は短く、羽を広げて乾かしたり、軽く羽繕いした後、川沿いを飛んで行きましたが、またすぐに戻って来たかと思うと、再び同じ方向に飛んで行きました。
カワウが去った際に驚いたのか、あるいはカワウが向かう先に魚がいると思ってついて行ったのか、一緒にコサギたち(電線にいたコサギだけでなく、近くにいた他のコサギも)も同じ方向に飛んでいきました。
カワウが去った際に驚いたのか、あるいはカワウが向かう先に魚がいると思ってついて行ったのか、一緒にコサギたち(電線にいたコサギだけでなく、近くにいた他のコサギも)も同じ方向に飛んでいきました。
川での採餌
11月25日~27日は電柱での様子だけでなく、川での採餌も観察しました。11月になって水深が浅くなっても、カワウが潜水して魚を捕る姿を確認できました。
26日はカワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギが同じ場所で採餌していました。ほんの数分の間にダイサギが魚3匹、カワウも5匹以上続けざまに丸のみしているのを目撃しました。
ダイサギとコサギは足を揺すりながら歩を進め、魚を隅に追い込んで捕獲していたのに対し、カワウは潜水し、水から顔を出す度に魚をくわえていました。特に驚いたのは、全身が隠れる程度しかない浅い場所でも、カワウが普通に採餌できることです。サギが得意とする浅瀬で、カワウが全く引けを取らない効率で狩りをしている姿は、まさに潜水鳥としての底力を感じずにはいられませんでした。
まとめ
半年間の継続的な観察を通して、水深を選ばないカワウの狩りの技術と、適応力の高さを実感しました。
また、自宅裏の小川と周囲にある電柱は常連個体の日常的な採餌・休憩場所であることも分かってきました。電柱で休憩や羽繕いを行い、すぐ近くの川に潜って魚を捕るという、効率的な行動パターンが確認できました。
1.行動パターンと利用場所
(1)電柱・電線の使い分け
✅風、雨、気温など状況に応じて選択
✅採餌前後の休憩や羽繕いのために利用
(2)小川での採餌と電柱での休憩のセット
✅狭い川でも採餌可能
✅電柱は休憩・羽乾かし・体温調整に活用
✅天候や採餌状況によって行動の長さ・場所が変化
✅自宅周辺は常連個体が単独またはペアで利用
2.他鳥との関係
✅アオサギ、ダイサギ、コサギと同じ場所で採餌
✅電柱のてっぺんにいたコサギを小突いて場所を奪ったりするが、それ以上の攻撃性は見られない。
時間帯・季節パターン
✅午前中と昼過ぎに現れることが多い
✅9月と10月は出現頻度が高い
✅11月~2月は訪問回数が減少傾向
✅3月に入り、再び増加傾向
※4月~8月はこれから観察予定










