はじめに
田んぼや湿地などで見かける白いサギたち。その中でもダイサギとチュウサギは識別ポイントを知らないと区別ができないほど似ています。
サギはよく首を縮める姿勢をとるため、サイズが逆転して見えることも珍しくありません。見た目の大きさだけで判断せず、細部の特徴と合わせて識別することが重要です。
本記事では実際の観察をもとに両者を見分けるためのポイントを整理しました。
ダイサギ(Great Egret)
シラサギの中で最も大きな種です。
分類
目:ペリカン目
科:サギ科
属:アオサギ属
種:ダイサギ
特徴と識別ポイント
外見上の主な識別点は口の切れ込み(口角)の位置です。ダイサギは口角が目の後ろまで深く食い込むのが大きな特徴です。
嘴(くちばし)の色は非繁殖期は黄色ですが、繁殖期には全体が黒色に変化し、目先がエメラルドグリーンになります。
繁殖羽として現れる飾り羽は背中(肩羽)のみに見られ、チュウサギやコサギとは異なり胸に飾り羽が現れることはありません。
チュウサギ(Intermediate Egret)
シラサギの中では中型で、ダイサギと比較すると一回り小ぶりな体格をしています。
分類
目:ペリカン目
科:サギ科
属:アオサギ属
種:チュウサギ
特徴と識別ポイント
外見上の最も重要な識別点は、口の切れ込み(口角)の位置で、目の真下付近で止まっており、目の後ろまで深く入り込むことはありません。
また、ダイサギに比べると首の長さが抑えられたシルエットに見えるのが特徴です。
嘴(くちばし)の色は非繁殖期は黄色ですが、繁殖期には黒色に変化し、目先は黄色くなります。
また、繁殖期におけるダイサギとの決定的な違いは、飾り羽に現れます。 飾り羽は背中だけでなく胸にも現れます。
季節による出現の違い
季節は識別の重要なヒントになります。
・ダイサギ(夏鳥と冬鳥)
一年を通して見られますが、季節によって入れ替わります。春から秋は南から「亜種チュウダイサギ」、冬は北から「亜種ダイサギ(旧称:亜種オオダイサギ)」が渡来します。
・チュウサギ(夏鳥)
九州以北の多くの地域では4月頃から見られ始め、秋に南へ渡ります。九州や四国、南西諸島など温暖な地域では越冬個体が確認されています。
地域によっては冬でもチュウサギがいる可能性があるため、サイズや口角の切れ込み等で識別する必要があります。
婚姻色にならない個体の存在
4月の代掻きの時期に多くのダイサギが黒い嘴とエメラルドグリーンの目元という婚姻色に変化しますが、中には嘴が黄色のままの個体が混じることがあります。これには2つの可能性があります。
1. 亜種ダイサギ(旧称:オオダイサギ)
冬鳥として渡来するグループです。5月中旬頃まで日本に留まる個体がいます。日本ではほとんど繁殖しないため、この時期でも嘴が黄色のままの個体と、婚姻色に変化した個体の両方見かけます。
見分けるポイントは、脚の中央にある関節とその上部の色です。この関節から上の部分が黄色や桃色を帯びていれば、この亜種の可能性が高いです。
2. 亜種チュウダイサギの非繁殖個体
日本で繁殖するグループですが、若鳥などは嘴が黒くならないことがあります。こちらは足が付け根まで真っ黒なのが特徴です。
見分けるには脚の色やサイズ感が重要になりますが、こちらの記事で詳しく解説しています。
おわりに
4月に入り、夏鳥であるチュウサギやアマサギが加わり、ダイサギやコサギも美しい婚姻色を見せる、サギたちの一番華やかな季節がやってきました。
田園を彩る彼らの装いの変化は、この時期ならではの楽しみです。









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