日本で見られるダイサギには季節によって入れ替わる2つの亜種がいます。
冬鳥として大陸から渡来する亜種ダイサギと、日本で繁殖する亜種チュウダイサギの2亜種です。特に春と秋は両者が同じ場所に現れるようになるため、体格差や顔の特徴を比較しやすい時期です。
この記事では、 両亜種の特徴と見分け方を実際の観察をもとにまとめています。
亜種ダイサギ
亜種ダイサギは大陸方面で繁殖し、日本に冬鳥として飛来するダイサギです。
秋になると北方から渡ってきて、冬の田んぼや河川、干潟などで普通に見られるようになります。 春には再び北へ渡っていくため、日本では主に秋から春にかけて見られるサギです。
以前は亜種オオダイサギと呼ばれていました。
特徴と識別ポイント
日本で見られるダイサギの中でもっとも大きく、平均して全長100cmを超える大きなサギです。
縦に長い体型で、嘴(くちばし)の色は非繁殖期は黄色ですが、繁殖期には全体が黒色に変化し、目先が緑色になります。口角が目の後方まで深く伸びています。 そのため、顔つきが鋭く見えるのも特徴です。
また、脛(すね)にあたる脚の関節から上の部分が淡い黄色や桃色であることが多いです。
亜種チュウダイサギ
日本で繁殖するダイサギです。 春になるとサギ山などで営巣します。
秋には南へ移動するため、日本では主に春と夏に見られる夏鳥ですが、西日本などでは冬に少数が越冬することもあります。
特徴と識別ポイント
亜種ダイサギより体格は一回り小さめです。また、脚全体が一年中ほぼ真っ黒である点も、識別の際の重要な判断材料になります。
繁殖期の変化として、嘴(くちばし)が黒くなり、目元が緑色に変わる婚姻色や飾り羽が現れる点は、先述の亜種ダイサギと同様です。
両亜種の見分け方
もっとも分かりやすいのは大きさの違いです。亜種ダイサギは非常に大きく、首と胴が長いのに対し、亜種チュウダイサギは細身で一回り小さいです。
春や秋は両者が同じ場所で採餌しているのをよく見かけるので、比較しやすいです。
ここが注意点!
ただし、サイズ差が常に明確に見えるとは限りません。撮る角度や対象との距離、個体差によって両者がほぼ同じ大きさに見えたり、逆転して見えることも少なくありません。
サイズだけでは判断しにくいと感じたときは、サイズ以外の亜種間の特徴を見極めることが重要です。
▼ 顔つきの違い
・亜種ダイサギ:
口角が目の後ろまで深く切れ込んでいる個体が多いです。
・亜種チュウダイサギ:
口角は目の後端を越えるものの、亜種ダイサギに比べると食い込みが浅く、短めに見える個体が多いとされています。
観察のポイント
一般的に言われる識別ポイントとして、目の真下を過ぎてすぐ終わるのがチュウダイサギ、さらに後ろまで伸びるのがダイサギという、食い込みの深さを捉えるのがコツとされています。
ただ、実際の観察ではダイサギでも食い込みが浅く見える個体がいたり、チュウダイサギでも目の位置よりさらに後ろまで深く食い込んで見える個体は少なくなく、個体差があるのが実態です。
この特徴だけで判別するのは正直難しいです。
あくまでサイズや全体的なシルエットと合わせて、総合的に判断する材料の一つととらえるのがよさそうです。
※国内外の専門機関(山階鳥類研究所やコーネル大学鳥類学研究所など)の報告では、亜種判別の優先順位は「大きさ」「脛(すね)の色」「嘴(くちばし)の長さと太さの比率」が上位であり、口角の長さは「補助的な特徴」として扱われています。
▼ 脚の配色(脛の色)の違い:
脚全体が黒い亜種チュウダイサギに対し、亜種ダイサギは関節から上の部分に黄色や桃色の淡い色彩が現れるのも見逃せないポイントです。
おわりに
亜種同士の違いは大きな差異がないため見過ごされがちですが、細部を追いかけてみると、季節ごとに別のグループが入れ替わっていることを実感できます。
サギたちのいる見慣れた田んぼの風景も、そんなちょっとした違いに気づけるようになると、また少し違った面白さが見えてくるような気がします。


