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2026年4月12日日曜日

ミヤマガラスの特徴と見分け方|ハシボソガラスとの違いと両者の関係を観察から分析【写真付き】

電線で鳴いているミヤマガラスを斜め前から撮影。大きく口を開けている成鳥のミヤマガラス、2026年1月23日撮影。①2026年1月23日撮影
ミヤマガラス


はじめに



越冬のために日本各地に飛来するミヤマガラスは田んぼなどの農耕地で群れで行動していることが多いため、都会に住んでいる人にはあまりなじみがない鳥かもしれません。

ハシブトガラスが都市部で多く見られるのとは対照的に、田園地帯にある自宅周辺ではハシブトガラスはほとんど見かけません。定点観察場所に現れるカラスは、ミヤマガラスとハシボソガラスの2種のみです。

本記事では2025年11月から2026年3月末までの観察記録をもとに、ミヤマガラスの特徴や見分け方、在来種のハシボソガラスとの関係、よくいる場所、越冬期間などを写真付きでまとめています。

電線に現れたミヤマガラスの群れの3羽を前方から撮影。特徴的なクチバシの形や色が確認できる。2026年2月7日撮影。②2026年2月7日撮影



特徴と見分け方



ミヤマガラスは九州以北には越冬のために渡ってくる冬鳥です。ハシブトガラスやハシボソガラスと同じく全身黒い羽毛で覆われています。



分類



目:スズメ目
科:カラス科
属:カラス属


三種の中では一番スリムといわれていますが、実際の観察では明確な違いとして捉えにくく、識別の決め手になるほどの差としては感じにくいです。

外見上の特徴として、成鳥ではくちばしの基部の皮膚が裸出して白く見え、くちばし全体も灰色で先が細く尖って見えます。これも距離や光の条件によって確認できない場合があります。

見分けるポイントは行動の違いが
一番分かりやすいかもしれません。ハシボソガラスはペアまたは少数で行動することが多いのに対し、ミヤマガラスは日中も群れで行動しています。

電線に現れたミヤマガラスの群れ。2羽は電線にとまり、一羽は飛翔している姿を確認できる。2026年1月23日撮影。③2026年1月23日撮影




よくいる場所(越冬記録)



越冬地である定点観察場所では、一定のエリア内の田んぼ移動しながら採餌するというルーティンが毎年繰り返されています。

今シーズン(2025年秋-2026春)も池に近い自宅周辺の田園地帯を好み、最長で2週間連続して姿を現しました。朝から夕方まで周辺の田んぼで採餌し、一時的に合流・分散を繰り返していました。

池方面から来る群れと、池方面へ向かう群れが交錯しながら出入りし、採餌場所を移動するために合流すると、周辺の空が黒く埋まるほど大きな群れになります。 

空を舞うミヤマガラスの大きな群れ。2026年2月3日撮影。④2026年2月3日撮影

田んぼ上空を移動するミヤマガラスの群れ、2026年2月11日撮影。⑤2026年2月11日撮影



越冬期間



11月8日に自宅周辺の田んぼで採餌している群れを初確認し、3月26日まで継続して群れの姿を確認しました。4月に入ってからは目撃しなくなったため、3月末に去ったと考えています。



ハシボソガラスとの関係



自宅周辺にはミヤマガラスが数百羽から最大で1000羽規模の群れで滞在していたのに対し、ハシボソガラスは基本的にペアで行動していますが、ミヤマガラスの大群が約2週間にわたって自宅周辺に入り浸っていたときに大きな変化が起きました。

上空を通過するミヤマガラスの群れを警戒する常連のハシボソガラスペア、2026年1月23日撮影。⑥2026年1月23日撮影
上空を通過する
ミヤマガラスの群れを
警戒する常連の
ハシボソガラスペア

ミヤマガラスの大群が押し寄せた約2週間はハシボソガラスが珍しく50羽近く集まり、普段は見られないような群れでの採餌行動をとりながら、一定の距離を保ってミヤマガラスの群れを偵察していました。

ハシボソガラスたちが直接的にミヤマガラスの群れへ突っ込んでいくようなモビングは見られませんでしたが、ミヤマガラスの群れが近くの田んぼに現れたり、上空を通過する際には、大きな鳴き声を発して警戒する様子が見られました。

一方で、こうした警戒行動が常に見られたわけではなく、状況によっては両者が同じ電線にとまるなど、比較的落ち着いた距離感で共存している様子も確認できました。

ハシボソガラスと一緒に電線にとまるミヤマガラス、右から2番目。2026年1月23日撮影⑦2026年1月23日撮影
ハシボソガラスと並んで
電線にとまるミヤマガラス
右から2番目

少なくとも小規模な接触においては、ハシボソガラスが必ずしも敵対的な行動を示すわけではなく、一定の許容が見られる点は興味深いところです。

ミヤマガラス側はこうした動きに対してほとんど反応を示さず、追い払うような行動も見せませんでした。電柱などで騒がれても、特に気にする様子はなく、そのまま採餌や移動を続けていました。

なお、自宅周辺にはトビも連日現れますが、ミヤマガラスはトビに対しては明確に異なる反応を示しました。モビングを行ったり、つきまとって追い払おうとする行動が見られました。このことから、対象によって警戒の強さを変えていることが分かりました。

電線に現れたトビを追い払おうと激しく鳴くミヤマガラスと、無視するトビ。2026年1月23日撮影。⑧2026年1月23日撮影
電線に現れたトビに向かって
激しく鳴くミヤマガラス


ミヤマガラスの若鳥とハシボソガラスが見分けがつかない件



自宅周辺に現れたミヤマガラスの群れを連日観察していると、その中にミヤマガラスに似た個体が混じっていることに気づきました。

当初は在来種のハシボソガラスが混ざっているのではないかと考えましたが、その推測と実際の観察との間に少なからずギャップがありました。

というのも、自宅周辺を縄張りにしているハシボソガラスたちは、ミヤマガラスの群れに対して明確に排除しようとする行動を示すわけではないものの、接近時や上空通過時には侵入者として捉えているような様子が見られたからです。

こうした行動が見られることから、ハシボソガラスが積極的にミヤマガラスの群れに近づいたり、その中に入り込んで行動を共にする可能性は低いと考えられます。自宅周辺をもともと縄張りとしている個体にとって、ミヤマガラスの群れと行動を共にしながら採餌するメリットも乏しいはずです。

その後、ミヤマガラスについて調べていく中で、ミヤマガラスの若鳥がハシボソガラスと外見が非常に似ていることを知りました。

ハシボソガラスによく似たミヤマガラスの若鳥と思われる2羽が電線に現れる。2026年2月7日撮影。⑨2026年2月7日撮影

⑨はミヤマガラスの若鳥と思われる2羽の写真です。ハシボソガラスによく似ていますが、くちばしの先が細く尖り、足が長く、額が少し盛り上がり、頭頂部は平ら、あるいは少しへこんでいるように見えるというミヤマガラスの特徴に一致します。

⑩2026年2月7日撮影
成鳥たちが合流

その後、2羽のもとに群れの仲間たちがやって来て、一緒に去っていきました。
 


まとめ



ミヤマガラスは越冬地で群れで行動し、一定エリア内の採餌場所を毎日移動しながら生活していることが確認できました。

今回の観察では若鳥がハシボソガラスと非常によく似ていることが分かり、単独の個体だけで判断することの難しさを実感しました。そのため、群れの構成、行動パターン、他種との関係、採餌場所など複数の要素を総合的に見て判断することが重要だと感じました。

農道に集結するミヤマガラスの群れ。2026年1月26日撮影。⑪2026年1月26日撮影