2025年秋から自宅周辺の田園地帯でダイサギを継続的に観察しています。 季節ごとの変化を記録していく中で、亜種ダイサギと亜種チュウダイサギが見られる時期の違いや、時期によって亜種間の脚の色の違いが決め手にならないことを改めて確認できました。
春から夏にかけてのダイサギは、嘴や眼先、脚の色が大きく変化します。 これは繁殖期を迎えることで現れる「婚姻色」と呼ばれる変化で、繁殖期が近づくと鮮やかな色合いになり、繁殖期が終わりに近づくと元の色(非婚姻色)に徐々に戻っていきます。
3月末までは婚姻色の個体は少なく、亜種ダイサギが多かった
3月末までの観察では嘴が黄色い非繁殖期の個体が大半を占め、婚姻色が現れている個体はまだあまりいませんでした。
また、観察エリアの田園地帯では、体がひと回り大きく、脚の関節(踵)より上の部分が淡い黄色や桃色を帯びた亜種ダイサギを多く見かけました。この時期はまだ越冬個体の亜種ダイサギが多く残っている時期でした。
4月以降は婚姻色に移行中の個体が一気に増えた
4月に入ると黄色い嘴の個体は急減し、婚姻色の個体が増えました。
それと同時に、亜種ダイサギはほとんど姿を見かけなくなり、観察できた個体の多くが亜種チュウダイサギでした。
写真を時系列で並べてみると、この変化はわかりやすく、4月初旬が切り替わりの時期だったことが確認できました。
婚姻色のピークは4月から5月
4月から5月にかけて観察したダイサギたちは、嘴は黒くなり、目先は鮮やかなコバルトブルーに変化した個体が多くなりました。
4月から5月がダイサギたちの婚姻色が最も鮮やかでした。婚姻色の影響で、脚の関節(踵)より上の部分が赤みを帯びる亜種チュウダイサギも多く見られました。
6月に入ると婚姻色が薄れ始める
6月になると、婚姻色は少しずつ薄れ始めました。繁殖期のピークには鮮やかなコバルトブルーだった目先は徐々にくすみ始め、嘴も黄色が戻り始めたような中途半端な色合いになりました。
婚姻色の特徴はまだ一部残っているものの、繁殖期を終えた移行段階の姿といえるでしょう。
淡い桃色の脚=亜種ダイサギとは言えない
6月に入り、脚の関節(踵)より上の部分が淡い黄色や桃色を帯びた個体を複数確認しました。 この特徴だけを見ると非繁殖期の亜種ダイサギによく似ていますが、周囲の個体と比較すると体の大きさに違いはほとんどありませんでした。
並んで採餌していた脚の色がグレーの個体と比べても体格差は見られず、全体の印象もよく似ています。
脚の色だけを見ると亜種ダイサギの特徴に似ていますが、体の大きさや全体のバランスを考えると、亜種チュウダイサギと考えるのが自然かと思います。
繁殖期の亜種チュウダイサギは、もともとのグレーや黒っぽい脚に婚姻色の赤みが加わります。婚姻色が薄れていく過程では、その赤みが薄れていくときに本来の色も薄れ、一時的に淡い黄色や桃色を帯びて見える時期があるのではないかと考えています。
この時期は脚色だけで識別すると、婚姻色が薄れ始めた亜種チュウダイサギを亜種ダイサギと誤認する可能性があるため注意が必要です。
繁殖期の脚の赤みには個体差や時期による違いがあることは以前の記事でも紹介しましたが、婚姻色が薄れ始めた時期にも同様の傾向が見られました。
7月末には非繁殖期の姿へ
7月末になると、嘴が黄色に戻った個体が目立つようになり、婚姻色はほぼ見られなくなりました。
まとめ
春から夏までの観察結果をまとめると、以下の通りです:
・3月末までは婚姻色の個体は少なく、亜種ダイサギが多かった
・4月に入ると婚姻色の個体が急増し、亜種ダイサギはほとんど見かけなくなった
・ 婚姻色のピークは4〜5月
・ 6月は婚姻色が薄れ始める
・ 7月末には嘴が黄色へ戻る個体が増え、非繁殖期の姿へ移行
特に繁殖期や移行期は亜種チュウダイサギの中にも脚の関節(踵)より上の部分が淡い黄色や桃色を帯びる個体が見られるため、脚の色だけでは亜種を判断できない時期になります。
繰り返しになりますが、複数の特徴を総合的に見ることが誤認を防ぐポイントだと改めて感じました。