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2026年7月14日火曜日

ハシボソガラスの子育て観察記 Part 2|3羽のヒナに訪れた試練 - 巣立ち編

ヒナに給餌するハシボソガラスのメス2026年6月1日撮影

Part1では電柱に営巣したハシボソガラスペアが3羽のヒナを育てる様子を紹介しました。

ヒナたちは順調に成長し、子育ては順調に見えました。

 6月に入ると、ヒナたちはすっかりカラスらしい姿になり、巣から身を乗り出して親鳥の帰りを待つ姿をよく見かけるようになりました。親鳥も毎日何度も餌を運んでいました。

親鳥を待つハシボソガラスのヒナ2026年6月4日撮影

この頃になると、ヒナたちは巣の縁に立ったり、羽ばたく練習をしたりするようになりました。

巣の中で羽を広げて飛ぶ練習をするハシボソガラスのヒナ2026年6月7日撮影

カラスは天敵が少なく、順調に育つことが多いですが、巣立ちの時期が最大の試練といわれています。

巣の中で羽を広げて飛ぶ練習をするハシボソガラスのヒナ2026年6月7日撮影

巣立ちが近づくと、大きくなったヒナたちは狭くなった巣の中で動き回ったり、巣の縁にとまって飛ぶ練習を始めます。その際に足を踏み外して落下し、命を落とすケースが少なくありません。

特に電柱や鉄塔のような人工構造物に営巣した場合、地面までの高さに加え、周囲に道路や線路などがあることも多く、生存率は公園や雑木林の樹木に営巣した場合に比べて著しく低下します。

今回観察した巣は電柱にあったため、巣の縁をよろめきながら歩くヒナたちの姿に何度もハラハラさせられました。

巣立ち間近のハシボソガラスのヒナ2026年6月8日撮影

巣立ちが近いハシボソガラスのヒナ2026年6月9日撮影

巣の縁にとまるハシボソガラスのヒナ2026年6月9日撮影

飛ぶ練習をするヒナたちを親鳥は巣を挟むように左右上下の電線に分かれてとまり、見守っていました。ときにはお手本を示すように、巣の縁から真横の電線へ飛び移り、ここまでおいでと誘うような行動も見られました。

巣立ちを促している様子でしたが、慎重にヒナたちの様子を見ながら静かに後押ししているように感じられました。

飛ぶ練習をするヒナを見守るハシボソガラスペア2026年6月9日撮影

6月10日には3羽のうちの1羽が初めて巣のすぐ横の電線へ飛び移りました。最初は恐怖心からなかなか飛び出せませんでしたが、2、3回トライし、ようやく飛び移ることができました。

飛ぶ練習をするハシボソガラスのヒナたち2026年6月10日撮影

巣から電線に飛び移ったハシボソガラスのヒナ2026年6月10日撮影

巣から電線に飛び移ったハシボソガラスのヒナ2026年6月10日撮影

ところが安心したのも束の間、電線の上を移動しようとした瞬間、足を踏み外してバランスを崩しました。落下してしまうのではないかと心配になるほど体が大きく傾きましたが、何とか踏みとどまりました。思わず息をのむ瞬間でした。

電線で足を踏み外して転落しそうになるハシボソガラスのヒナ2026年6月10日撮影

一度成功して自信がついたのか、ヒナは巣に戻るとすぐに練習を再開しました。すると今度は巣の縁に立とうとした際に大きくバランスを崩し、後ろ向きに転落しそうになりました。それでも必死に踏ん張り、間一髪持ちこたえました。

巣の縁でバランスを崩して転落しそうになるハシボソガラスのヒナ2026年6月10日撮影

飛ぶ練習は一歩間違えれば命を落としかねない危険と隣り合わせ。ヒナたちにとって真横の電線へ飛び移るという小さな一歩でさえ命がけの挑戦だったことが分かります。

この日は残る2羽も巣の縁に立ち、何度も羽をはためかせていました。いよいよ巣立ちが近づいたと感じましたが、その翌日、恐れていたことが起きました。

6月11日、帰宅途中に1羽のヒナが車道で死んでいるのを見つけました。巣の真下ではなく反対車線だったことから、巣立ちの途中で落下したか、まだ十分に飛べないまま道路へ出てしまったのだと思われます。

その日の朝までは3羽ともまだ巣の中にいましたが、夕方に確認すると、ヒナの姿はありませんでした。残りの2羽は無事なのか、この時点では分かりませんでした。

翌日、幸いにも1羽の生存を確認することができました。親子は巣から少し離れた雑木林へ移動していました。親鳥が引き続き給餌を行っていました。

雑木林に移動したハシボソガラスの巣立ち雛2026年6月12日撮影

親鳥はヒナから少し離れた場所から周囲を警戒しながら見守っていました。親鳥が近づくと、ヒナはしわがれた声で鳴き、盛んに餌をねだっていました。

親鳥に向かってエサをねだって大きな口を開けるハシボソガラスの巣立ち雛2026年6月13日撮影

今シーズンの観察では、3羽いたヒナのうち、無事に巣立ったのは1羽だけでした。

カラスはどこにでもいる身近な鳥ですが、その陰では親鳥が懸命にヒナを育て、ヒナたちは危険と隣り合わせで成長していることを、今回の観察を通して知ることができました。



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